第6章 懐剣の苦難
『ん、んぅ…や、やげ…』
「ッは、姐さんよぉ…なんで不動とはあんなに親しいのに俺とは親しくしてくれねえの?同じ織田信長の刀だったのによ…」
薬研が寂しそうな声で囁くから、あたしは彼の顔を見る
寂しそうな声とは裏腹に彼の顔は怖かった。どちらかと言うと怒っている様な・・・
『だ…って、薬研君は…』
「その薬研君っていうのも気に入らねえんだよ。不動は呼び捨てなのによ。俺だってガキじゃねえんだ、そのことをしっかり姐さんに分かってもらわねえとな」
『んぁ、やだ薬研く…どこ触ってんの!?』
壁に押し付けられているから、身体を撫でまわす薬研君に抵抗できなかった。首筋に軽いキスをされるだけなのに薬研君の声が耳に響いてもどかしくなる
「姐さん…俺、姐さんの事すっげえ好きなんだよ。だから…」
『薬研!!』
薬研の顔が離れた瞬間、あたしは彼の肩を押した
いつの間にか荒くなっている息を整えながらあたしは彼を見る
『あたしは薬研のこと好きだよ。でもそれは友達として!だから…貴方と変な関係にはなりたくない。…ごめん』
どうしたらいいか分からないあたしは、とにかく謝った
それが正しいかはわからないけど、でも彼のことは友達として好きだから・・・
そう思っていたら、薬研は大きなため息をついた
「姐さん…あんまそういうことはっきり言わないでくれよ…」
そういいながらゆっくり離れる薬研のポカンと見ているとふいに軽いキスをされた