第6章 懐剣の苦難
「大事だからなんじゃねえのか?」
『…大事?』
「姐さんは、この本丸だけのもので他の本丸にはない刀剣女士だから何かあっちゃならねえからだと俺っちは思うぜ?」
『…そんなもんかな~』
「…まぁ、少なくとも俺は思ってるぜ…?」
と、いきなり薬研君はあたしの手を握った
驚いたあたしはその手は振り払わず薬研君を見た
『や…薬研君?』
穏やかで優しい顔の薬研君にそっと頬を撫でられたあたしは彼の名を呼んだ
「なんだ?」
『いや…なんだ?じゃなくてね…これは…』
「これ…あぁ、あんたの顔があまりに綺麗なもんだから触りたくなった」
『…唐突に?』
「ずっとだ…ずっとあんたに触れたかった。大将が姐さんを大事にしたい理由は俺なら分かる。」
あたしの手を握っていた薬研君の手が、腕を伝って肩に触れた。その手はさらにあたしの首の後ろに回った・・・ところであたしはその場の状況を理解した
『や…薬研くッ!?』
「姐さん…俺っちだって男だぜ?あんな悩まし気な顔されたらほっとけなくなっちまうよ」
『な…悩まし気って…ッ!!』
彼の言葉に反論しようとしたら、彼に口を塞がれた
当然彼の唇に・・・
『ん、んん!!』
「…姐さん、口開けろ」
『んんん!!』
「いいだろ?どうせ初めてじゃないんだろうし」
彼の言葉に思わず反応してしまったあたしを良しと思ったのか、薬研君はあたしを廊下の壁に押しやりさらにキスを続けた
誰かが通るかもしれないなんてきっと考えていない
キスの力強さがそれを表しているようだった