第1章 鍛刀完成 *卯月*
『こ…小狐丸様ッ』
「はいはい小狐丸離れて。彼女まだ本丸の案内中なんだから」
「そうか?…離れるのが惜しいな。」
『はい、じゃ回り終わったらまた来ます』
「そうか!」
小狐丸様・・・見た目すごく大人なのに内面は子供っぽいな
また来ると言ったら、三日月様も鶯丸様もなんだか顔がほころんでいた
「ならば茶を用意して待とうか。」
「茶に華が添えられて、良きかな良きかな」
ハハハと笑っているところを見ると、ホントにおじいちゃんみたいだな・・・この3人
でも、この人達は太刀の中でもかなり強い人達だろう
・・・そんな感じは微塵もしないけど・・・
「んじゃ行くよ」
『うん…。では失礼します』
3人に頭を下げて先を行く加州君と大和君に続いた
次に行くのはみんなの自室らしい
***
「…よき姫だな」
「あぁ、この本丸も華やかになるね」
茶を啜りながら、彼女が縁側を歩く姿を目で追った
小狐丸に至っては、姿が見えなくなるまで見つめておった
「そんなに気になるか、小狐丸」
「はい…、本当によく似ている」
「あぁ…、見違えるほどにな」
2人が彼女の背を寂しげに見つめていたが、三日月だけは嬉しそうだった
「ハハハ、過去のことはよい。今後の彼女を見守るとしようぞ」
そう笑っていたが、その美しい瞳には少しだけ不安の色があった