第1章 鍛刀完成 *卯月*
『うーん…あたし、兼さんに何かしたっけ?』
「さぁ、照れてるだけなんじゃない?」
「和泉守さん女の子とか弱そうだもんね。」
頭を抱えながら本丸の縁側を歩くあたしの前を、加州君と大和君が歩いているが、あたしの悩みに関してはかなりあっさりしてた
「おや、新人の姫がおいでなさったな。」
悩みながら歩いていて気が付かなかったが、歩いていた縁側に3人の男の人が座っていた。
3人共見るからにすごい雰囲気を醸しだしていた
『ぁ…、桜華切冴姫です。…よろしくです』
「うぬよろしくな姫や。俺は三日月宗近、気軽にじじいと呼べばよい。ハハハ」
『じ…?』
見るからにとても美しい容姿をしている人がそういうモノだからあたしの頭上に?が浮かんだ
それを見かねた加州君が補足をしてくれた
「十一世紀の末に生まれた刀なんだって。だからじじいって言ってるの」
『そうなんだ。…あ』
「え?」
『あ、いや…なんでもない』
彼の存在を生涯の中で知っていたため、あたしは少し彼に親近感を感じたが、きっと相手は覚えていないだろうと思い留めることにした
「俺は鶯丸だ。よろしくな、桜華切殿」
三日月様の奥にいた鶯色の髪を靡かせた方がお茶を啜りながら声をかけてくれた。あたしは、軽く頭を下げて返した
「私は小狐丸。…お前からはいい匂いがするな」
『あ…えッ…』
小狐丸の名に似通わないほどの巨漢であたしの前に立つ小狐丸様。あたしの香りをスンスンと嗅いでその匂いが分かるとパァっと顔色が明るくなった
「桜の香りか、よい香りだ。もっと近くで…」
『ほ?おぉお!?』
小狐丸様は何を思ったか、突然あたしを抱きしめた
首元に顔を埋めてスゥっとにおいを嗅ぐ。でも小狐丸様の耳が当たってちょっとくすぐったかった