第6章 懐剣の苦難
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「んで、お前らの中で冴姫に好意持ってるやついねえだろうなぁ?」
彼女がいなくなった途端、不動は他の刀剣たちを睨んだ
その場にいる内番でない者たちは周りの者たちとヒソヒソと話し始めた。そして一番に声を上げたのは三日月だった
「…好意を持っていたら、どうだというのだ?」
「…あいつは俺の妹分だ。手を出したやつから切るからな!!」
「はぁ…出すわけないだろうあんな小娘」
「あぁ!?テメエ、信長様の直臣でもない奴に譲渡された刀のくせに!!」
「なんだと!?」
元は信長の元にあった2振りがもめている間も周りはもめていた
「冴姫おねえちゃんはみんなものです!」
「そうだぞ新入り!主が顕現した俺達の仲間だ。」
「仲間ならいいが、傷つけるようなら許さないからな!!」
今剣や岩融が言うが、不動は聞かなかった
不動の言い分を聞いた短刀や脇差達はニヤニヤしていた
乱「へぇ~新入りさんってお姉ちゃんが好きなんだね~」
厚「あぁ、嫉妬ってやつか?」
五虎退「お姉さんと…もう、お話してはだめなのですか?」
鯰尾「独占はよくないよね~」
それを聞いて納得した周りの刀剣男士達はあぁ~と声を上げると、元々赤くなっていた不動はさらに赤くなった
「なっ!?違ッ…!!」
「ハハハ、また好敵手が増えてしまったな。」
「ここの者は皆冴姫が好きだからな。お主は苦労するぞ」
「何!?みんななのか!?」
「まぁまぁあんた、あっちで一緒に飲まないかい?」
「えっ…?酒があるのか?」
場を収めた次郎太刀のおかげでこの蟠りはとりあえず終わった。・・・が、数人はいい気がしていなかった