第6章 懐剣の苦難
「どうした加州」
「さっき新しい刀剣男士が来たから、みんなに紹介しようと思ってね」
加州君がそう言っていると、廊下の方から誰かが歩いていた
随分とヨタヨタと歩いている人だった
「…ひっく、ッあぁ…俺は不動行光。織田信長公が最も愛した刀で…」
『あっ!!行光!?』
「えっ…」
不動行光・・・織田信長公の愛刀とされているもので、あたしは彼をよく知っていた
「あん?…おぉ!!冴姫か!?」
『行光!久しぶり!!』
「なんだよお前、なんでいるんだ!?」
『ここの主ちゃんに顕現されたの!!まさかあんたに会えるなんて…』
「俺も嬉しいぜ!!信長様が市様に送った懐剣だからな!俺らは所謂兄弟のようなもんだからな」
ガハハ!!と笑っている行光とあたしは、織田信長様とお市様の関係のように兄妹のような関係だ。
一緒にいた期間は短いけど、記憶の中ではとても親しかった
「なぁ冴姫、ここの案内お前にしてもらいてぇんだがいいか?」
『あぁ、ごめん。あたし内番があるから…』
「あん?んなもんサボればいいだろ?」
『今日は主ちゃんにかかわる仕事なのよ!!』
「はぁ!?そんなの…」
行光と2人で話をしていると、後ろから咳払いが聞こえた
長谷部だ
「お前ら、話ならよそでやれ!!そして桜華切さっさと主の元へ行け!!」
『えっ!?…あぁ!!鳴狐さん置いてかないでください!!』
と、いつの間にか内番の人達がいなくなっていることに気が付いたあたしは急いで主ちゃんの部屋に向かった