第6章 懐剣の苦難
「おはよう諸君、今日も刀剣男士として職務に励むよう…」
毎朝恒例の長谷部の長い話を聞きながらあたしは大きなあくびをする。隣にいた乱ちゃんや鯰君が心配そうにあたしを見てきた
「姉さん、寝不足ですか?」
『ん~、あぁ、大丈夫だよ』
「冴姫姉ちゃん、昨夜は忙しかったみたいだからね」
『乱ちゃんあんまり大きな声で言わないで…』
目をこすりながら乱ちゃんを見ると、その視線の先に三日月さんがいた。いつものように小狐丸様と縁側に座りお茶を飲んでいた。三日月さんもあたしの視線に気が付いたのか、彼と不意に目が合った
「さて、お待ちかねの今日の内番決めだ。今日は…
《馬当番、太鼓鐘と獅子王》
《畑当番、大倶利伽羅と山姥切》
《手合わせ、平野と前田》
《洗濯当番、蜂須賀と歌仙》
《掃除当番、今剣と青江》
《炊事当番、燭台切と小夜》
そして《アシスタント、桜華切と鳴狐》…以上だ」
長谷部に内番の内分けを聞かされたが、あたしは聞きなれない内番だったため同じ内番の鳴狐さんの元へ行った
『鳴狐さん、アシスタントってなんですか?』
「あしすたんととは、毎月月末に忙しくなるあるじさまのお手伝いをするものであります。共に絵物語を描くのが主な仕事でありますな」
つまり、主ちゃんの漫画の手伝いってことですか…
と言うと、本人の方が声を上げた
「でも…楽しいよ」
『そうなんですか…?』
「鳴狐は、絵を描くのがお好きなようで度々あるじさまにあしすたんとの指名を受けているのであります!」
「そこ!話すなら後にしろ!!…では、非番の者はいつ出陣命令が下ってもいいようにしておくようにな。では、かいさ…!!」
「あ、ちょうどよかった。みんなちょっと待って」
長谷部の話が終わった瞬間、その場にいなかった加州君が戻ってきて彼の話を止めた