第5章 姫の初夜
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この本丸の食堂は2つある
その時々の食事の内容によって変わるっていうシステムで、和食なら座敷の大広間で洋食や中華ならテーブル席の大広間で食べる
今日は洋食好きの主ちゃんのためだって言ってたから洋広間みたいだ
『お邪魔しま~す』
「あ、サキちゃん。具合どう?大丈夫?」
広間に入ってすぐの厨房にいた光忠さんが声をかけてくれた
光忠さんは作るものによってエプロンだったり割烹着だったりするけど、どれとっても似合うんだよね・・・
『はい、大丈夫です。すみませんご心配をおかけして…』
「よかった、ご飯食べれそう?」
『はい、おなかすきました!!』
「じゃあちょっと待っててね、来た人のものから順に焼いてるから」
また厨房に戻ってしまった
あたしはその間に席を探していたら、「お姉ちゃん!」と誰かが走ってきた。走ってきたのは乱ちゃんだった
「お姉ちゃんどうしたの?鯰尾から体調悪いって聞いたけど大丈夫?」
『うん、大丈夫だよ。ごめんね遊んでる最中にいなくなっちゃって』
「ボクは大丈夫だよ!また今度遊べばいいんだから!…それでお姉ちゃん、今日も三条の人達とご飯食べるの?」
『あ…』
あたしは、ここ最近ずっと今剣ちゃんに連れていかれて三条の人達とご飯を食べていた。そこには鶴さんもいた
でも今日は・・・
『今日は今剣ちゃんいないし、誘われてないから乱ちゃん達と一緒に食べていいかな?』
「ホント!?やったーー!!こっちだよ!!」
と、乱ちゃんがあたしの手を引っ張っていく
乱ちゃんに連れられてきたのは、当然粟田口の人たちのいる席。すでに五虎ちゃんも戻ってきていた
「あ、冴姫お姉さんこんばんわ」
『こんばんわ、出陣お疲れ様』
「はい。…でも物吉さんには出会えませんでしたが…」
『怪我無く帰ってこれたんだからいいよ。』
と、五虎ちゃんの隣に座ると周りの子達がご立腹していた