第1章 鍛刀完成 *卯月*
「はい、ここが手合わせの道場」
炊事場を後にしたあたし達は次に道場にやってきた
そこでは数人がすでに木刀を交えて戦いの練習をしていた
「おっ?新入り娘か?」
『あっどうも、桜華切冴姫です。』
「俺は長曾祢虎徹だ。よろしくな」
道場の入り口付近で座って手合わせ中の人達を見ていたのは髭を生やしたガタイのいい人。男らしくてかっこいいな~と思っていたら、手合わせしていた人達も近くに来た
「おぉ!!新入りじゃな。わしゃ陸奥守吉行じゃ。よろしゅうな」
『桜華切冴姫、よろしくです!』
「なんじゃ、おまんはいい香りがしなさんな」
『そうですか?』
というと、陸奥守さんはあたしのそばにきてスンスンとにおいを嗅ぐ。肩口に近づいた時、その香りに気が付いたようだった
「おぉ!!おまんからは桜の香りがしよる!いい匂いじゃ!!」
『あぁ、あたし香を焚くのが好きで着物にあてたりしているんだ。その匂いかもしれないな』
「…それに、よぉ似ちょる」
と、陸奥守さんが頭をグシグシと撫でてきた。最後のセリフの時にちょっと変な間があった気がした
あたしが少し疑問に思った時、ふと別のところを見ているとなんだかにらまれているように感じた
『・・・?』
あたしを睨んでいる人を見ると、その人はびっくりしたように視線を逸らして少し咳ばらいをしてあたしに近づいてきた