第1章 鍛刀完成 *卯月*
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「んじゃ、俺達が本丸を案内してあげるね」
『はい、お願いします』
動きやすい甚平と髪型に着替えたあたしは、長谷部さんに言われた通り今日は本丸について教えてもらうことになった
「俺は加州清光。この本丸で一番の古株だよ。んで、こっちは俺の元主が同じの…」
「大和守安定。よろしくね」
『桜華切冴姫です。よろしくです!!』
「うん、やっぱ女の子いるといいね~、場が華やぐというか」
あたしを見てニコニコしている加州君とは別に、大和君はどうもあたしが気になるみたいだった
『何?』
「あっ、いや…懐剣って何だろうと思って…」
『あぁ。懐剣は基本は短刀や脇差と同じだけど、女性が持つことが多かった護身用の刀だよ。あと、昔の女性が結婚するときに白無垢と共に持ったと言われています。』
「へぇ~、だから女の子が鍛刀されたんだ。」
『女の子って言っても、加州君の方が可愛いよね。美意識が高いと言うか…』
まぁね!とドヤ顔をする加州君がまず案内してくれたのは炊事場だった
『わぁ…いい匂い!!』
「あれ…新入りさんだね。」
『桜華切冴姫です。えっと…』
「歌仙兼定。君の名前は雅に溢れていてとても美しい。よろしく」
『はい!…何をしているんですか?』
「今は内番の炊事をしているのです」
『内番…?』
「この本丸での仕事のことだよ。炊事はもちろん洗濯や掃除、馬の世話に畑仕事…あと手合わせなんかもあるんだよ。あぁごめんね。僕は燭台切光忠。よろしくねサキちゃん」
歌仙さんともう1人いた人が、さらにくわしく内番について教えてくれた
主様の友達と言っても、甘えて何もしないわけにはいかないからね