第3章 大宴会
『んぁ…やばい、眠い…』
足取り重く部屋に戻っていくが、いつも以上に部屋が遠い気がする。そう思っていた時、正面から誰かが近づいてきた
「やぁやぁ桜華切殿、いかがなされましたか?」
『あ…鳴狐さん…こんばんわ~…』
現れたのは寝巻姿の鳴狐さんだった
鳴狐さんは厠の帰りみたいで、ずいぶん前に宴会から離脱していたらしい
「桜華切殿は槍や大太刀の皆様とずいぶんと楽しそうにお酒を飲まれておりましたからね。大丈夫でございますか?」
『ん~だいじょーぶ…』
「…眠そう」
『だぁいじょうぶだって…。まだ意識ありますから…。んじゃ、おやすみなさ~い』
と言い、鳴狐さんに頭を下げて自分の部屋へ向かう
でも鳴狐さんに背を向けてすぐ、急に視界がグラっと揺れたと思ったら床と天井が反転するような感じがした
「…ッ冴姫さん!!」「桜華切殿!!」
鳴狐さんとお付きの狐さんの声が同時に聞こえた瞬間、ふわっと温かい風に吹かれたような感覚がした
「…全く、無茶をなさるから…」
声の主がおそらく倒れたであろうあたしを受け止めそのままお姫様抱っこをした。
その腕に抱かれていると、とても心地よかったからあたしはそのまま目を閉じて夢の中へ入ってしまった