第2章 初内番
『あの、お手数をおかけしてすみません…』
「…別にいい。それよりあんた、兄弟と一緒じゃないのか?」
『兄弟…?』
「あぁ…。俺は山姥切国広。山伏国広と同じ刀工だから、兄弟のようなものなんだ」
『へぇ~、山伏様は山籠りに行きましたよ。ってか、山姥切さんはなんで布なんて被ってるんですか?』
疑問に思い、山姥切さんの布に触ろうとしてみた
すると山姥切さんは、あたしの手を払った
「触るな。写しの俺には、薄汚れた布がお似合いだ。だから被っている」
『写し…。でも綺麗だからいいじゃないですか?』
「…きれいとか言うな」
『綺麗だから綺麗って言ったんです。何か問題でも?』
そこまで言うと、山姥切さんは何も言わなくなった
でも彼を見ると布越して分かりにくいが、顔が赤くなっているようだった
『…あ、違いますね。』
「…なんだ」
『山姥切さんは、綺麗と言うより可愛いですね』
「…は?」
『ほら、また顔赤くなってる』
そうやって笑い合っていたら、いつのまにか道具倉庫にたどり着いていた
倉庫の中に入り、それぞれを指定されている場所に置いていく
『よし、これでいいですね。山姥切さん本当にありがとうご…!?』
道具を片付けて山姥切さんにお礼をしようと頭を下げた瞬間、山姥切さんに頭を撫でられた
あたしはあまりにびっくりしすぎて頭を押さえて後ろに下がった。でも、一番驚いていたのは本人だった
「すっ…すまん!!!」
今日見た中で一番の赤い顔をした山姥切さんは、物凄い速さで走り去っていった
『…?』
なぜ頭を撫でられたのかは謎だったが、あたしはとりあえず今は気にするのはやめて本丸見物に向かった
同じ本丸にいるわけだから、いつかは分かるだろうと思って・・・