第1章 鍛刀完成 *卯月*
***
「はぁ~…」
冴姫の部屋を後にして、廊下の角を曲がってすぐ俺はようやく緊張感から解き放たれたような気持ちになった
こんなに誰かと会話をするのに緊張なんてしたことなかったから
だって冴姫のやつ・・・近くにいるだけですごくいい匂いさせてるんだから。短刀や脇差と同じくらいなのにそれよりももっと華奢で、でも着物から見える胸元や太腿は柔らかそうで・・・
って!!俺何考えてんだよ!!
初めて会った相手なのに・・・
***
さっきの夕餉、あいつずっと太刀といたけど・・・
いや、別に気にしてるとかじゃねえし!!
あいつがどこにいようが、オレは別に関係ねえし!!
「兼さん、かなり桜華切さんのこと気にしてるね」
「は…はぁ!?何言ってッ…」
「えっ?まさか気が付いてないと思った?さっきの手合わせも夕餉の時もずっと彼女のこと見てたのに?」
国広に言われたが、俺は全然そんな意識はない
でも・・・確かに見ていたかもしれない。三日月や鶴丸と何を話しているのかとか、小夜と仲良さそうとか・・・
クソ、なんなんだよ・・・!