第1章 鍛刀完成 *卯月*
「よし全員いるな、全員注目!!!」
夕餉の終わり際に、長谷部が声を上げた
小夜ちゃんのためにリンゴを剥き続けていた時だった
「さて明日だが、今日来た桜華切冴姫と明日来るはずの刀剣のために懇親会を開くぞ。主が直々に行えと仰せになられたため盛大に行うぞ」
長谷部がそう言うと、その場のほぼ全員が歓声を上げた
でも、そんな雰囲気をぶち壊すように長谷部は咳払いをした
「だが気を抜くなよ、明日もいつも通り内番と遠征は控えている。当然桜華切にも内番をさせるからな」
というと、歓声を上げていた刀剣達が途端にブーイングに変わった。
「なんで女の子に内番やらせるんだよ!!」
「長谷部さんひどいです!!」
「長谷部~お前鬼だな!!」
「え~いうるさいッ!!本丸の刀である以上当然だ!!桜華切、お前も異存はないな?」
『ないで~す。主お世話係様のご意志のままに』
と、相変わらず長谷部を舐めてた口調で煽るとやっぱり長谷部は怒っていた
「貴様ぁー!!」
「まぁまぁ長谷部君、もう遅いから解散にさせようよ」
「まったく、詳細は明日辰の正刻(午前8時)に本家の中庭に集合だ。いいな?」
「「はーーーい」」
というと、刀剣達は各々動き出した。
あたしは主が使っていると言っていた個室風呂に入って、鶴さんにあたしの部屋を案内してもらった。個人の部屋があるところの一番奥だった。中は意外ときれいでなぜかドレッサーがあった
「主が女が来たら絶対ここにって言ってたからな。好きに使ってくれ。…じゃあまた明日な、おやすみ」
『うん、ありがとう。お休み』
鶴さんが去った後、あたしはすぐ部屋に入って寝た。
その日は、かなりよく眠れた。
久しぶりに誰かと会話して笑って、ちょっぴりドキドキして・・・
これからこのことを考えると、ちょっと楽しみだった