第14章 夏祭り!
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「あぁ~あ、2人ともどこ行っちゃったのかな…」
「そうですね。でも、一期一振さんが一緒ですねので大丈夫だと思いますよ」
屋台の道の人ごみの中で、凛華と石切丸ははぐれた2人を探していた。特に凛華は相当冴姫を心配しているようで彼女のことばかり呼んでいる
「主、一期一振のことは心配じゃないのかい?」
「…別に。彼なら大丈夫だと思うよ」
普段は、温厚で刀剣達のこともちゃんと見ているのになぜか今日は彼に対して反応が淡白だった。
それで、石切丸は気が付いた
「…2人とも心配なんだね」
「…別に」
主がこんな態度をとるなんて珍しいと思う分、石切丸はとても複雑な心境だった。自分の思い人がこんな風にほかの男のことを思っていたら・・・
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「じゃあ冴姫さん、行きましょうか」
『はい』
花火が終わると一期さんがまたあたしに手を差し出した
あたしはそれに応じてを握る
手を繋ぐと、あたしはさっそくさっきのことを聞いてみた
『あの…さっきのこと…』
「もうその話はいいので。お気になさらないでください」
と、頑なに話そうとしてくれない
だから、それ以上は聞かないようにした。
「ただ・・・」
と、意外にも一期さんが話を続けてくれた
「私にも、思う方がいるのだと…お伝えしたかったのです」
『えっ…』
一期さんからのいきなり好きな人がいます宣言に、あたしは当然驚くことしかできなかった。
『それって、誰ですか!?』
「…さあ」
と、ロイヤル級のあの笑顔で笑われちゃったら・・・
なにも言えませんやん!!
「あ!!いたいた!!」
人ごみの中で大きく手を振っている凛華が走ってきた
凛華はその勢いのままあたしに抱き着いてきた
「もぉどこ行ってたのさ!!」
『えっと…ちょっと一期さんと…』
「えっ…2人で?」
『えっ?まぁ…』
ちょっと主ちゃんの表情が曇った気がした
でも、その理由が分かった
「あぁー!!なにそれ絶対ネタになるやつじゃん!!なんであたし達の前でやってくれないの!?」
やっぱりネタなんだね・・・と思った
そんなあたしたちをよそに、石切丸さんと一期さんは、何か思いつめたような空気をしていた