第14章 夏祭り!
『一期さん、何味ですか?』
「私はこの青いものですが…ぶるーはわいと書いてありましたが」
『わ…分からずに買ったんですか?』
「…桜華切殿は、きれいな桃色ですね」
『ピーチ味です。色もかわいかったので』
そんな話をしながら、かき氷を片手に一期さんと人ごみの間を歩いていく。途中、一期さんが弟さん達に頼まれていたものを買いながら、なんだかんだ花火大会の屋台の雰囲気を楽しんでいた
「ねぇあの人やばくない?」
「やばい!すっごい王子って感じ!!」
「一緒にいるのアレ彼女?」
うわ~…聞こえる聞こえる
すれ違う女の子達からのお声が聞こえる。まぁ気持ちは分らんでもないよ
「桜華切殿…」
一期さんは、あたしのことを呼ぶと徐にあたしの手を握ってきた。それを見たらまた周辺の女の子たちが騒ぎ出した。
「…こうすれば、あの方々も納得するでしょう。」
『は…はぁ、そうでしょうか』
なにやら一期さんがいつになく楽しそうなのは置いておいて、あたし達はそのまま人ごみの中を歩いていく
しばらく歩くと、人だかりが極端に減ってきた
屋台のあった通りからかなり外れてしまったみたいで辺りはとても静かになった
『人減ってきましたね。戻りますか?』
「いえ、そのほうが好都合ではないですか」
『はい?』
手を繋いでいた一期さんは、突然あたしの顔を見てにこっと微笑んだ。
「桜華切殿…、いえ冴姫さん。」
『は…はい?』
「…私は」ドーーーーーーーーーン!!!!
突然の名前呼びに戸惑っていると
大きな音と辺りを照らす。このタイミングで花火が始まった
『わぁ~…いいタイミングですね』
「…そうですね」
『…あ、それで一期さん。さっき何を言いかけたんですか?』
「…いえ。」
一期さんは始終笑顔のままあたしの顔を見てからまた花火に目をやった。