第1章 鍛刀完成 *卯月*
「コレ…!!」
「おぉ?!何だコレ、皮が残ってるぞ?」
『フフン、結構得意なんですよ飾り切り。ウサギに見えませんか?』
鶴さんがあまりに驚くからあたしは次のリンゴを手にして別の形に切ろうとした。ウサギの形に切ったリンゴをそのテーブルにいたみんなが物珍しそうに見ていた
「ほぉ、これは確かにうさぎのようだ」
「ハハハ、姫…いや、冴姫は可愛らしい特技を持っているな」
「…可愛い」
ウサギのリンゴを受け取った小夜君は、とっても嬉しそうに齧っていた。鶴さんがそれを羨ましそうに見ていた
「小夜だけずるいぞ!冴姫、俺にも!!」
『えぇ~、あたしは小夜君のために切ってるんだから。はい、小夜君』
と、次に渡したのは木の葉型に切ったリンゴを段々にずらしたものだった。今度の飾りにはさっきのウサギ以上の盛り上がりだった
「すっげえな!!」
「本当に…、桜華切は器用だな」
『へへん、あたしは一応嫁入りの刀だからね。こういうことは得意なの!』
と、胸を張っていると正面に座っていた小夜君があたしのそばに来た。小夜君の方に身体を向けて向かい合うと、小夜君は少しモジモジしていた
「あの…ありがと…。姉さま」
『…!!』
…可愛い!!何この子可愛すぎる!!
もう主ちゃん!!女の子じゃなくても可愛い子居るのに!!と思ったことを胸に秘め、平常心を保ったまま小夜君に笑顔を見せた
『普通に名前で呼んでいいよ。』
「じゃあ、冴姫姉さま…」
『ありがと。…ねえ、あたしも小夜君じゃなくて、小夜ちゃんでいいかな?なんか、君って感じじゃないから』
そういうと、小夜ちゃんは小さくうなずいていた
あぁ~可愛い!!
「おや珍しい、小夜がこんなに早くなつくなんて」
「…彼女は、和睦の心が御有りのようですね」
兄の2人も小夜ちゃんを見て安心しているようだった