第13章 ハグの日 *葉月*
「おかえりなさーい!!」
今日はいつも以上にお出迎えがすごい
粟田口の子達が全員にあたしを心配してくれている太刀の皆さんでごった返していた
「ただいま。すまないがまずは主様にご報告をしてきますので。皆さんは小烏丸殿優先で手入れを行ってください!」
と言って、一期さんは主ちゃんの部屋に向かっていった
あたしの周りには残された短刀達が集まってきた
前田「お姉さん、けがはありませんか?」
『あ、うん…大丈夫だよ』
薬研「…姉さん、熱でもあるのか?顔赤いぞ?」
『ふぇ!?あ…気のせいだよ!じゃ…じゃあ手入れ部屋行ってくるね!』
さっきの一期さんの余韻のせいだろうと思ってあたしはごまかすためにさっさとみんなから離れる。小烏丸様が先に行っているからあたしも足早に行こうとした
「あ、冴姫さん!」
手入れ部屋に向かう途中、これまた堀川君と今度は兼さんだ
2人はちょっと土で汚れているからきっと内番をしてきたのだろうと思っていると堀川君は兼さんに肘打ちしてどこかへ行ってしまった
残されたあたしと兼さんに沈黙が流れる
・・・それを破ったのは兼さんだった
「あ、今日の出陣どうだった?」
『あ…はい、前倒せなかった脇差を倒せました。』
「おぉすげえじゃねえか!お前も強くなってるんだな」
『はい、おかげさまで!!』
そんな話をしたが、またすぐに沈黙・・・
兼さんは自身の長い髪をずっと触っている
『あの…あたしそろそろ行きますね』
「あ…おい!」
手入れ部屋に行こうとすると、兼さんはおもむろにあたしの手を掴んだ。その手がかすかに震えているがあたしはそのまま彼の顔を見る
「・・・悪い、早く治してこいよ」
『あ…はい』
そう言って、兼さんは行ってしまった
・・・結局兼さん、ハグしてくれなかったな