第13章 ハグの日 *葉月*
『えっちょ…あれなんですか!?』
「まずいですね…。あれは検非違使ですね。この時代にとどまりすぎると現れるんです」
一期さんがそう言うと、相手は躊躇なくこちらに攻撃してきた。それもさっきとは桁外れの強さで・・・
「にっかり殿!物吉殿を頼みます!同田貫殿と私で大太刀と薙刀をやりましょう!小烏丸殿と桜華切殿は残りを頼みます!!」
一期さんの指示でみんなが各々敵を倒していく
カンスト間近の同田貫さんと一期さんが強い敵を倒していく中であたしと小烏丸様は少しだけ悪戦苦闘していた
「んっ、掠ったか…」
『痛っ!』
あたしも小烏丸様も軽傷になりかけてしまい、ちょっとこちらが不利になってきた。
「冴姫殿!!!」
いきなり一期さんが大声であたしを呼んだ
その時・・・!!
『・・・!?』
一期さんがあたしを抱き寄せていつの間にかあたしの背後にいた敵を切り裂いた。目の前の太刀相手に本気になりすぎて、背後からの槍に気付かなかったからだ
「…大事ありませんか?」
『は…はい』
あまりの突然のことにあたしはドキドキしていた
あと、下から見る一期さんがあまりにかっこよくて・・・あれ?これって・・・
「五分も斬り込みゃ人は死ぬ、ってなぁ!」
と、いつの間にか同田貫さんが最後の1体を倒してしまい何とかこちらの勝利で終わった。
「にっかり殿、物吉殿、小烏丸殿。大丈夫ですか?」
「ボクらは大丈夫です!」
「なに、この父も大事無い…」
と言いつつ、小烏丸様は中傷だった
それ以外は何とか軽傷で留まっているからよかった
「…では、そろそろ撤退しましょうか」
「そうだね、君の腕の中の姫様も無事みたいだからね。…冴姫さんのことだよ」
いつも以上ににっかりとしたにっかりさんの言葉に、物吉君も小烏丸様もニコニコし始めた。あれからずっとあたしを抱きしめていた一期さんは慌てる様子はなくあたしから離れた
「桜華切殿、大丈夫ですか?」
『は…はい。ありがとうございます。』
穏やかな一期さんを見ても、あたしの心はドキドキしたままだった。
あと、さっき初めて一期さんに下の名前で呼ばれた・・・