第13章 ハグの日 *葉月*
『はい…交代だよ』
「ありがとうございます、冴姫お姉さん」
結局、内番が終わってから博多君や小夜ちゃんと一緒に本丸内を歩いていたら案の定粟田口の兄弟たちに捕まってしまった。皆があたしを取り合って収集がつかなくなってしまったから3分ずつというルールのもとみんなとハグをした。
「次は僕です!」
『はい、いいよ』
「へへへ、お姉さんやわらかくてあったかいです」
『うーん…あったかいはいいけど、やわらかいは複雑だな…』
秋田君を抱きしめながらそんなことを思っていると、別の客がやってきた
「あ!!冴姫ちゃん!俺もハグしてーー!!」
と、秋田君を抱っこしている後ろから飛びついてきたのは浦島君だった。浦島君だったからよかったけどうっかりしたら秋田君をつぶすところだった
『あ…虎徹の皆さん』
「やぁ冴姫さん。あまりこの贋作と一緒にされたくはないが、随分と楽しそうだね」
と、さらりと長曾祢さんのことを貶しながらあたしを見る蜂須賀さん。ようやく秋田君と浦島君が離れると、一度ハグをしたみんながまた寄ってきた
厚「姐さん、もう一回いいだろ?」
乱「冴姫姉ちゃんボクも!」
博多「俺ずっと我慢しとったんばい。次は俺ん番ばい!!」
秋田「あぁ!僕もまだお姉さんに抱き着きたいです!!」
浦島「短刀ばっかずるいぞ!!俺だって冴姫を前からギュってしたい!!」
また収集がつかなくなってくると、予想外の人が止めに入ってくれた。
それは蜂須賀さんだった
短刀達の間をスッと通り抜けあたしの前に躍り出た。そのままあたしをそっと抱きしめた。
あ・・・歌仙さんもそうだったけど、蜂須賀さんすごくいい匂い優しくて甘い、花のような香りだった
『は…蜂須賀さん…?』
「俺だって君に抱き着く権利くらいあるだろ?」
『あ…はい。』
耳元で蜂須賀さんの優しい声で言われると、みんなにハグされた後なのに急に恥ずかしくなった。
ここに来て、ようやくこの企画の本質にあったことが起こっている。
今すっごくドキドキしている・・・