第13章 ハグの日 *葉月*
「それじゃ、お小夜と博多はこれを干してきてくれるかい?」
と、大きなかごに入った洗濯物を2人に預けてあたしと歌仙さんは2人でまだたくさん残っている洗濯物を洗う。
『ホントにすみません歌仙さん。あんな大量の洗濯物をお一人で…』
「なに大したことないさ。君も大変だったね、もうほとんどの刀剣とは抱擁を交わしたのかい?」
『あ、いえ。そんなにです。全力で逃げてきたので…』
そうか、と洗濯桶の中で服を洗いながらとつぶやいた
あたしは最初に歌仙さんにやらせていた分しっかり働いた。
・・・ふと、視線に気がついた
『…あの、どうしたんですか?』
「…いや、相変わらず君は雅に溢れていて美しいなと思ってね。皆が挙って君との抱擁を望むのも分かると思ってね」
『そうですか?あんまり自分では思いません…!?』
自分の身体を見回していたら、突然視界が揺れた
グラっと揺れる感じではなくフワッと揺れる感じ。するとすぐに温かい温度とふわりと花のようないい香りがした
『か…歌仙さん?』
「すまない…今なら誰も来ないと思ってしまってね。」
『あ…そうですか』
歌仙さんも、誉が欲しいのかと思ってしまった。さっきの御手杵さんみたいに・・・いや、歌仙さんならこんなちゃっちいことで誉をもらったりするだろうか・・・?
「…どうしたんだい?」
『えっと…いえ、ちょっとびっくりしちゃって…』
「…そういうところは似てないんだね。思ったより素直だ」
『えっ?』
「いや、こっちの話だよ。さぁ、早く内番を終わらせてしまおうか」
と、泡が溢れ出ている洗濯桶に目をやって再び洗濯を始めた
あたしもすぐに再開したが、歌仙さんの心情がよく読み取れなくてあまり洗濯に集中できなかった