第13章 ハグの日 *葉月*
『あぁ、びっくりした』
「なんばいあいつ、姉ちゃんにいきなり抱き着いて!」
博多君があたしの腕の中でプンプンと怒っている
ようやく洗濯場に近づいた時、ちょうど洗濯物を出しに来た左文字さん達が出てきた
『あ、皆さん。』
「おや、冴姫さん。」
「…姉様、なんで博多抱いてるの?」
宗三さんがあたし達に気づいて声をかけてくれた
江雪様はあたし達に頭を下げて、小夜ちゃんは・・・あたしの腕の中の博多君を睨んでいた
「へへーん、先手必勝ばい小夜。俺ん方が早かったけんな」
「…復讐してほしいの?」
『あ、ちょっとケンカしない!!はい、博多君はもうおしまい!』
「えぇー!?サキ姉もっと!!」
『ダメ!次は小夜ちゃんの番。早くしないと、小夜ちゃんに復讐されちゃうよ。はい小夜ちゃん、おいで』
と、博多君を降ろして小夜ちゃんにむけて手を広げた
博多君に対して睨みを利かせていた小夜ちゃんは、あたしの顔を見てパァっと明るくなった・・・気がした
トトト…と小走りであたしの方に走ってくると、あたしにギュッと抱き着いた。ドキドキはしなかったけどこれは可愛すぎて胸がキュンとした
「むー!!俺も抱き着く!!」
『わっ!?博多君…もぉ』
「…離れて」
「お小夜、そんな怖い顔をしてはいけませんよ。」
2人に抱きしめられているのを宗三さんはクスクス笑いながら見ていた。江雪様もニコニコと見ていた。でも、また別の人はちょっとご立腹だった
「やっと来たね冴姫さん。主の命で大変だからって内番はしっかりやっていただかないと。」
『あ…歌仙さん。すみません』
「ほらほらお小夜も博多も離れて。内番の邪魔だよ」
「俺も手伝うけん!!」
「僕も…」
と、2人があまりに熱心に言うものだからさすがの歌仙さんも困ったような表情をして「はぁ…」とため息をついた