第13章 ハグの日 *葉月*
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『うーん、やっぱ博多君には敵わないな…』
「エッヘン!俺ん偵察値は今ん本丸で一番やけんな!!」
三名槍さん達と別れてすぐ、廊下の角から周囲を伺いながら洗濯場へ向かっていたら、背後からいきなり博多君が飛びついてきたのだ
「んでサキ姉!ドキドキした?」
『うーん、ドキドキっていうより…びっくりしたかな…』
「えぇ~…じゃあ誉もらえんのやろうか…」
『アハハ…そろそろ離れてくれない?あたし内番あるから…』
「嫌や、いつも乱とかに姉ちゃん取られてばっかやけん今くらい甘えたか」
背中に抱き着いていた博多君があたしの正面に来て前から抱き着いてきた。ギュウっとあたしの肩に手を回してちょっと力を超えているから、あたしは無理にほどけなくなってしまった
『…じゃあ、このまま一緒に行こっか。その代わり、洗濯手伝ってね』
「…分かったばい!!」
と、博多君を抱き上げてそう言うとなんとも無邪気な笑顔であたしを見た。あぁ~…可愛い
『でも、他の子が来たら…』
「おっ!!サキちゃん発見!!」
と、博多君を抱きながら廊下を歩いていたら正面から誰か来た・・・貞ちゃんだ。そして、その傍らにはあたしの知らない人が・・・
「…太鼓鐘、新入りか?」
「あぁ!俺の兄弟の…」
「ぼくは亀甲貞宗。徳川将軍家に伝わる刀だよ」
『へえ、貴方も徳川家の…。あたしも一応徳川家の刀なんだよね。桜華切冴姫っていう…』
「えぇ!?桜華切…あぁ、とうとう会えた!姫!!!」
メガネをかけたその・・・亀甲さんはあたしの名を聞いた途端、博多君を抱いたあたしを博多君ごと抱きしめた
しかもかなり強い力で・・・