第13章 ハグの日 *葉月*
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「ッハハハハハ!!!あぁ~笑わせてもらったぜ」
「ん?なんでだ?これでみんな誉もらえるんじゃないのか?」
「御手杵…お前主の話聞いてたか?誉をもらえるのは、冴姫に抱き着いてときめかせた奴だけだ。やればもらえるわけじゃねえよ。」
「えぇー!?そうなのか?じゃあ俺もう一回いってくる!!」
冴姫が去ってから、正三位が大爆笑している
盛大に勘違いをしている御手杵に対してと・・・隣でしょぼくれた蜻蛉切に対してだった
「お前も残念だったな。せっかく勇気出して抱き着いたってのによ。御手杵のせいで、俺たち全員誉目的で抱き着いたって思われただろうからな。」
御手杵さんが走って去っていったあと、しょんぼりしている蜻蛉切さんにそんな話をしている
「・・・。」
「一番に抱き着いてもありゃ気づいてないだろうな。お前があいつに惚れてるってよ」
「…日本号殿!!」
「おっ?違ぇのか?いつもいつもあいつを見ては、どっか気になる部分を探してそれを直してあいつの顔見て桜散らしてるから、てっきりそうなんだと思っていたが?」
図星を突かれた蜻蛉切が顔を赤くしていると、彼のさらに後ろから不気味な笑い声が聞こえてきた
「huhuhu…ナルホド、蜻蛉切は冴姫さんがお好きなのデスね」
「なっ!?村正!!」
「ほぉ…では、ワタシが一肌脱いで…」
「おい!!またお前は…」
「…と言いたいところデスが、そこはワタシも譲れませんね。」
一度自分の服に手をかけた村正だが、急に真面目な顔になり蜻蛉切を見る。蜻蛉切の方が背が高いため彼を見上げているが、その眼力はそれに負けていなかった
「たとえファミリーでも、彼女をドキドキさせて誉をもらい彼女の心を射止めるのはワタシデス。」
そう言い残し、村正はその場を後にした
何も言えなかった蜻蛉切だが、何か心に決めたような表情をし村正とは逆方向に向かっていった
「おぅおぅお盛んだね~。いいじゃねえか、面白くてよ」
と、日本号だけは両者を見てガハハハ!!と笑っていた