第13章 ハグの日 *葉月*
『ほぇ!?』
「おぉ!」
「おぉ~やるな~」
目の前を横切ったのは、蜻蛉切さんの腕
大きな腕があたしの身体を包み彼の身体の方に引き寄せられた。頭の部分に恐らく胸板が当たっているが、やっぱり相当鍛えていらっしゃる・・・
あれ・・・?これって、いきなりあたしの負け・・・?
あぁ、負けとかはないんだ。ただドキッとしたかどうかだった
『あ…あの、蜻蛉切さん。ハグの第一号ですね』
「えっ!?じ・・・自分が一番?!も…申し訳ない!!」
と、あまりに予想外だったようですぐにあたしから離れた
日本号さんから「よかったじゃねえか」と茶化されているが、本人は・・・
「すでにどなたかと交わされたと思ってしまい…申し訳ない!!」
『いやいや全然!!ちょっとびっくりしちゃいましたけど…あ、帯ありがとうございます。あたし、内番ありますからそろそろ行きますね』
「あぁちょっと待て!」
と、急にあたしの肩を持って引き留めたのは御手杵さんだった。『はい?』というと、正面から思い切り抱きしめてきた。
『お…!?御手杵さん!?』
「蜻蛉切ばっかりずるいぞ?刺すことしか能がねえけど、俺だって誉ほしい。」
『あぁ…そうですよね』
主ちゃん曰く、刀剣男士達には〈ハグをしてあたし(冴姫)をドキドキさせたら特別な誉をあげる〉っていう指令を出したらしい。
そりゃ誉ほしいよね、あたしだってほしいもん
短刀や脇差も必死になって当然だからね。蜻蛉切さんも御手杵さんも刀剣男士だからね
「んじゃ俺も」
『…分かりました。どうぞ』
誉が欲しいからだと言われてしまったら、もうドキドキもクソもないから、あたしは御手杵さんから離れて日本号さんの前に手を広げて立つ。日本号さんはあたしの後頭部を持ち片腕だけであたしを抱きしめる。あたしは両手を日本号さんの背に回した。
軽く背中をポンポン叩いてすぐ、日本号さんから離れてあたしは3人に頭を下げて本丸の廊下を走っていく
改めて、他の刀剣男士さん達に気を付けながら!