第13章 ハグの日 *葉月*
『わぁーーー!!』
厚「姐さん!!待ってくれよーー!!なんで逃げんだよ!!」
浦島「俺達から逃げれると思うなよー!!」
秋田「待ってくださーい!!」
短刀や脇差君達に朝から追い掛け回されている
太刀の皆さんたちは隙あらばッて感じであたしとのハグを狙っている
内番の仕事もあるのに、彼らから逃げているからそれすらまともにできない。あぁ~・・・歌仙さんに怒られるかも・・・
ようやく逃げ切って本丸の中でもかなり奥の方に来ていた
短刀達の声が遠くに聞こえているから、なんとか一安心だった。ここから今日の内番の洗濯の場所まではかなりあったが、裏庭を通ればいけないこともないから外を通って行こうとした
「おっ?おめえ何しにてんだ?こんなことで」
『あ、日本号さん』
外に出ようと縁側に座ろうとした時、現れたのは日本号さんを筆頭にした三名槍の皆さんだった
ちょっと警戒したけど、まぁ御三方なら大丈夫だろうと思い一度立ち上がって三人と顔を合わせた
『いや~、今日の主ちゃんの気まぐれのせいで短刀や脇差の人たちに追いかけられて…』
「それでここまで逃げてきたのか?」
『はい…』
「ッハハハ!モテる女は大変だな~!」
御手杵さんや日本号さんはそう言ってあたしを見て笑っている。でも蜻蛉切さんはあたしのことを笑いもせずじっと見ている
『…またどっかおかしいですか?』
「…あぁ、今日は着物の帯が…」
『げ…』
あたしは髪が調子よくまとめられても甚平の着方がおかしかったり、着方が良くても髪グチャグチャだったりと、あたしは不器用みたいでよく直してもらってる
「…では、今日も御直しいたしましょう」
『あ、お願いします』
と、蜻蛉切さんの前に立ち背を向けた
すぐに蜻蛉切さんの手があたしの帯を直し始めてあたしは安心して蜻蛉切さんに委ねた
キュッと帯が閉まる音がしたと思った時、あたしの目の前に大きなものが横切った