第1章 鍛刀完成 *卯月*
『は…はじめまして』
「よぉ!君が三日月の言う姫だな?俺は鶴丸国永、よろしくな!!」
三日月様の隣にいる白い着物の鶴丸様がそう言いながら手を差し出してきた。
あたしは、握手を求められたと思いその手を握っ…!?
『わぁあ!!!』
「あっははは!!驚いたか?」
『驚きますよ!!』
鶴丸様の手を握った瞬間、その手がポロリと落ちたのだ
あまりに突然のことであたしは落ちた手を投げ捨ててしまった。当の鶴丸様はとっても楽しそうに笑っていた
「この前万屋で買ったものだ。主曰く、どっきり用の道具らしいんだ!!ほら、俺の腕は無事だ!」
と、着物から手をのぞかせて見せてきた
ゲラゲラと笑う鶴丸様を睨んだ。
『もぉ!!』
「ハハハ…、あぁ悪い悪い、ほらこっち来い」
『もう変なことはしないでくださいね!』
そう鎌をかけると、はいはいと鶴丸様は席を開けた
三日月様と鶴丸様に挟まれる形で席に着いた
「はぁ~笑った笑った!!新人の姫は面白いな~」
『そんなに笑わなくてもいいじゃないですか!!あと、あたしは姫ではありません!!桜華切冴姫です!!』
「ハハ、悪い悪い…。じゃあ…冴姫でいいか?」
『はい!!』
「ならお前も、鶴丸様はやめろよな」
『あぁ…はい。なら…鶴さんでいいですか?』
「おっ!?…アハハハ!!お前、いきなりあだ名か。こりゃ驚いたな!!あぁ、かまわないぜ」
鶴丸様とそんな話をしていると、あたしの反対隣りにいた三日月様が口をはさんできた
「なんだ…姫は俺の言うことは聞かないのに鶴丸の言うことは素直に聞くのだな。」
『そりゃ、鶴さんは姫って呼ぶのやめてくれましたし。三日月様もやめてくれればやめますよ?』
「おやおや、今回の新入りは随分とはっきりと言う方だな」
三日月様の正面にいた鶯丸様がそう言って笑っている