第1章 鍛刀完成 *卯月*
「兄者勝手に行くな…と」
「あぁ、肘丸。遅かったな」
「俺は膝丸だ兄者!!」
薄緑色の髪の人は、あたしと目が合った瞬間一瞬動きが止まったがすぐに髭切様の方を見た。・・・てか髭切様、弟の名前を憶えてらっしゃらないのか?
『えっと、膝丸様?』
「あ、あぁ…お前は…」
『桜華切冴姫です、よろしくです。』
「あぁ。だが、俺には敬語は不要だ。様も付けないでくれ」
『えっ…でも』
「兄者が呼ばれる分にはいいが、俺にはあわない。普通に接することができたら…嬉しい」
膝丸様が、顔を赤くしながらそういうモノだからあたしは膝丸様の言葉には素直に応じることにした
膝丸様・・・いや、膝丸はなんだかお友達になれそうな感じがしたからだ
でも、三日月様は・・・
なんとなくタメ口を使いにくいというか、烏滸がましいというか・・・
「冴姫、そろそろ」
『あ、はい』
膝丸と話していたら、小狐丸様があたしの腕を引いて食堂の中へ連れて行った。
あたし達が離れてからも髭切様と膝丸は何か揉めていた
「冴姫姉ちゃん!!」
小狐丸様と歩いていたら、後ろから可愛らしい声が聞こえた。乱ちゃんだ
『乱ちゃん!どうしたの?』
「ねぇ、明日甚平借りてもいい?1日着てたいから!!」
『もちろん!明日の朝おいで。早めに起きておくから』
「ありがとう!」
可愛らしい笑顔を見せた乱ちゃんは、粟田口のみんなが座る場所へ戻って行った。
あたしは、小狐丸様の誘導で三日月様や鶯丸様のいる席に座らされた。
そこに、初めて会う白い人がいた