第12章 好意
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『・・・。』
夕餉の時、今日のあたしは珍しく左文字さん達と一緒だった
偶然洋広間に入るときに御三方と会って小夜ちゃんが一緒にご飯を食べたいと言ってくれたから一緒に食べることになった
でも、うっかり座ってしまった場所から兼さんがはっきり見えてしまっている。あたしの正面に小夜ちゃんでその隣のテーブルでこっち側に堀川君が座っているから丁度兼さんと目が合う形になっている
「…姉様、どうしたの?」
『えっ!?なんで?』
「なんだか…ボォッとしてる」
「具合でも悪いのですか?」
小夜ちゃんと江雪様がそう言ってあたしを心配してくれる。
でも宗三さんはニコニコしていた
「まぁ女子ならではの悩みでしょうし、あまり干渉しないで上げてください」
『そ…宗三さん!?』
「大丈夫です、あまり周りには口外しませんので」
隣に座っている宗三さんがそうあたしに耳打ちしてきた
さっきの鶯丸様と言い、ひょっとしてみんなにバレているのかと思い・・・
『あの…もしかして、皆さんもう分かってるんですか?』
「いえ、少数だと思いますよ。勘の鋭い方や観察の得意な方からはバレていると思いますがね。たとえば、にっかり殿など」
『えっ!?』
そう言われ、にっかりさんが座っている方を見ると・・・
確かにこっちを見てにっかりしてる・・・
それに観察が得意なら鶯丸様もあり得る。だって大包平様の観察日記付けてるから・・・
あたしって・・・そんなにわかりやすい女だったのかとこの時ちょっとだけショックだった