第1章 鍛刀完成 *卯月*
「おや、そろそろ夕餉の時間ではないか?」
「おや、もうそんな刻限か。では姫や、参ろうか」
『…ッだから、あたしのことは姫とは…』
「ならお主も、俺を三日月様と呼ぶのはよさぬか。気軽にじじいと…でなければ、宗近…とでも」
縁側から立ち上がってあたしの肩をポンと叩いてどこかへ行ってしまった。
隣に座る小狐丸様は、あたしをじっと見つめたまま動かなかった
『あの…小狐丸様?夕餉の時間みたいですよ』
「…仕方ありませんね。では、共に参りましょう」
『はい、あたし食堂の場所分からないですし』
ようやく動き出した小狐丸様と食堂に向かった
食堂は、さっき居た縁側にほど近かった
そこにはすでにたくさんの刀剣達がいて、まるで学生寮のようだった
『こ…こんなにいるんですね』
「まぁ、そうですね。私ですら35振り目ですので」
『ひぇ~…、あの、あたしっていくつか…』
「…確か、先日来られた髭切が48、膝丸が49であったので…」
『50!?わぁ~…』
「僕を呼んだか?」
小狐丸様と食堂の前で立ち尽くしていたら、背後から声が聞こえた。それは、淡い黄色い髪が綺麗に垂れた人だった。僕をってことは・・・
『えっと…ひざ…ひげ?』
「あぁ、今日来た娘だな?本当に女子なのだな。僕は源氏の重宝、髭切。よろしく」
『はっ、はい!!失礼しました!!よろしくお願いします。』
髭切様に頭を下げると、「兄者~!!」と言う声と走る音が聞こえてきた