第10章 初出陣 *文月*
『姉様もう一杯~!!』
「おぅ!今日はよく飲むね~。」
すっかり酔っぱらって元気になってしまったあたしは次郎姉様に寄り添いながらお酒を催促する
すると、あたしの隣に珍しい人たちが来た
「やぁ冴姫、今日はいつもより元気だね」
『んぁ~?あぁ髭切様~こんばんわ』
「こんばんわ、僕もすっかり酔ってしまったよ。ねぇ、弟の…」
「膝丸だ、兄者」
あたしの隣に来たのは、髭切様と膝丸の源氏兄弟だった
髭切様の方はほっぺが赤くなっていて口調もいつも以上に柔らかかったから酔っているのがすぐに分かった。でも膝丸の方は全然飲んでいないようだった
『膝丸~飲まないの?』
「おれはあまり酒に強くないからな。それに、兄者が酔った時に俺が介抱しなければ…」
「だから、そんな心配いらないって言ってるだろ…えっと」
「膝丸だ。」
「そうそれ、こういう時くらい飲まないとだめだよ?」
「そうだぜ膝丸、男ならんなこと気にしねえでグッと行け!おらぁ!!」
「なっ!?おいっ…!!」
と、すっかり出来上がっている日本号さんがそばに置いてあった一升瓶に手をかけそれを膝丸に所謂ラッパ飲みをさせた
瓶の中にはまだ半分以上お酒が入っていたのに、日本号さんはそれを文字通り浴びるほど膝丸に飲ませた
ゲホゲホとむせ返りながら膝丸は酒を飲んでしまった
すると・・・、いきなりぼぉっとした膝丸があたしの方にグルっと顔を向けじっとあたしを見た
『膝丸~?だいじょーぶ?』
「・・・。」
声をかけても一向に口を開かない膝丸
でも急に動き出したと思ったら、あたしの腕を引き自分の方に引き寄せた
あたしは、勢いのまま膝丸に引かれたせいで彼の身体の中に倒れこんで、そのまま抱きしめられた
「冴姫・・・好きだ」