第10章 初出陣 *文月*
「そら飲め飲め!!」
『日本号さんさっきから呑んでますよ~』
「何言ってんだいサキ、夜はこっからだよ~!」
着替えて和広間に入ると、早々に日本号さんと次郎姉様に捕まった。
うちの本丸は、出陣後の夕餉はだいたい宴会になる。今日一番はしゃいでいるのは今日の出陣で主ちゃんに誉をもらってた陸奥だった。長曾祢さんや兼さん達の、いわゆる幕末組の中ですごく盛り上がっていた
「それにしても、初出陣での活躍お疲れさまでした」
『いえ、あたしは皆さんのサポートしかしてませんから…。主ちゃんに誉められたのも結局陸奥でしたし』
「んなことねえよ、初っ端でサポートできるくらいの力があるってのは大したもんだぜ。足すくんで足手纏いになるよりよっぽどな」
あまり酔っていない太郎様に言われ、日本号さんもそれを補足するようにあたしの肩に手を回して言う
あたしは、それでようやく皆さんと同じ場所にいると自覚した
いつも宴会に発展するけど、あたしはそれをただ見ているだけ、付き合っているだけだった。自分が当事者になって誰かに誉められる、認められることがなかったからそれが新鮮でうれしかった
そのせいか、今回はいつも以上に日本号さんや次郎姉様に合わせてお酒が進んでしまった
毎回かなり呑むけど、今回はペースも早く飲んじゃったから今日は眠いということを通り越してしまった