第10章 初出陣 *文月*
突然の告白に、周りは唖然とした
しかも、それを少し離れたところで飲んでいる人達にも聞こえたみたいで、一気にあたしの周りに人が集まった
「ちょっと膝丸、おねえさんになにいってるんですか!?」
「こいつは驚いたな、こんなところにも好敵手がいたとはな!」
今剣ちゃんや鶴さん以外にもワーワー騒いでるけど、とうのあたしは落ち着いていた。それどころか、あたしはあたしに抱き着いている膝丸の頭をポンポンと撫で始めた
『膝丸…可愛いね~。よしよし』
「ん~…冴姫~…」
お互い酔ってるからか、会話が一切成り立っていないがあたしは楽しいから何でもよかった
・・・周りはそう思ってなさそうだったが・・・
「おねえさんをはなしてください!!」
「そうだぞ!俺だって冴姫に抱き着きてえ!!」
「んじゃ自分も」
と、明石さんも抱き着いてきた
彼は正面からではなく背後からであたしの背中からあたしをギュッと抱きしめた
今日のあたしは酔ってるからそれすら拒否をしない
「なんで国行も抱き着くのさ」
「ええやん、自分も姫に抱き着きたいんやもん」
「…どいて」
と、明石さんを押しのけて入ってきたのは蛍ちゃんだった
膝丸の事もどかそうとするがすっかり眠りかけている膝丸はどく気配がなかった
「お姉ちゃん、俺だってお姉ちゃんのこと好きだよ?」
『うん、あたしも好きぃ』
「…もぉ」
へらへらっと答えるあたしにムッとしながら肩口に顔をうずめてさらに強く抱き着く
その後は、膝丸と蛍ちゃんに挟まれてしまっているあたしに文句を言いながらみんなその周辺でまた飲み始めた
「…冴姫」
『ん~?』
みんなが騒いでいる中で、膝丸があたしの懐の中で小さく名を呼んだ。それは本当にあたしにしか聞こえていないみたいで誰もこっちを向かない
「…お前は、真に思う者はいるのか?」
『真に…?』
「…真に、思いを寄せるもの。もし、いないのならば…」
と、そこまで言って膝丸の口からは寝息が聞こえてきた
考えが追い付かないあたしは、何かを考え始めるとようやくいつもの眠気が襲ってきた。
真に思う・・・それって本当に好きな人ってことだよね・・・?
真に・・・思、う・・・人は・・・