第10章 初出陣 *文月*
「ほら、着いたぜよ。まっことおんしは時間移動苦手みたいじゃな」
『うぅ…あのピカー!ぶわぁー!!がなんとも…』
「そんなことより冴姫、ここが江戸だよ」
と、陸奥に笑われていると加州君があたしを呼ぶ
見るとこの前の遠征とは全く異なる世界が広がっていた
道は硬いコンクリートで固められていないし、人の手には小さな箱は握られていないしそれに夢中になっている人もいない
活気があってみんなが快活に動き回っている
『わぁ~…江戸だぁ~』
「君も、この時代は懐かしいかい?」
『ここから見るのは初めてかも。いつもはお城の上から見てたから…』
と、町を見渡すと嫌でも見える一番大きな建物・・・江戸城
江様のころからずっとこの中にいたあたしは、常に将軍の正室のそばにあったからこの時代外にいることなんてなかった
『それで…敵は?』
「敵は江戸改変甲部隊、そんなに強くないから僕らに任せてくれれば…」
「加州、どうやら御出座しみたいぜよ。」
「…じゃあ鶴翼陣で行くよ。冴姫は俺達の後ろにいてね」
と、加州君達はあたしの前を敵に向かって走っていく
あたしはそんな後姿を少しだけムッとしながら着いていった