第10章 初出陣 *文月*
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「よし、全員いるな!」
いつものごとく、長谷部が皆の指揮をとる
今日は珍しく凛華がいた。いつもなら漫画で忙しくてこういう場にはいないのに
「今から出陣の詳細を伝える。場所は江戸・元禄、平穏とはいえ時間遡行軍が現れたと通達がありその討伐にあたってもらう」
いつも通り長谷部が説明するが、あたしは半分上の空だった
だって意味ないもん
「ではメンバーを発表する。今回は、主の意向で初期刀勢の5振りに出てもらう。」
そう言って呼ばれた初期刀の皆さんが一歩前に出た
でも、普通は一部隊に6振りなのに5振りで行くのかな?
「長谷部君、今日は5振りなのかい?」
あたしの考えを代弁してくれるかのように光忠さんが長谷部にそう尋ねた
「いや、もう1振りは主自ら御指名いただく。」
長谷部はどこか自慢げにそういう
きっと自分が選ばれると思っているのだとあたしはすぐに気が付いた
「さぁ、主どうぞ」
長谷部に誘導され凛華が皆の前に出る
皆、自分が選ばれることを期待しているような面持ちだったが、ふとあたしは凛華と目が合った
「最後の1振りは…桜華切冴姫、貴女よ」
と、いつもの彼女とは違う真面目で凛とした表情でそう告げた
周りは「おぉ!!」と言う歓声や「えぇー!?」と言う驚きの声なのに、当のあたしは突然のことに言葉を失った