第10章 初出陣 *文月*
「…過保護なのは分かってるんだよ…。でもね…」
「でも…?」
机に伏せっている凛華は、どこからか1枚の封筒を取り出した。それに覚えがある5振は皆目を丸くした
「それは…」
「政府からの出陣命令…場所は江戸。元禄文化の時のね…。時代的にも強さ的にもすっごく丁度いい時のが来ちゃったんだよね~…」
と、頭を抱える
本人的にも出陣経験を積ませたい気持ちはあるようで、でも本人の中にある葛藤により簡単にはいかないようだった
「…俺達が一緒に行く」
沈黙の中で静寂を破ったのは、意外にも山姥切だった
自分たちが一緒に出陣するならいいだろ?と、山姥切は言う
「それはええな!わし達に任せてくれれば大丈夫ぜよ!」
「俺がいれば彼女にけがは絶対にさせないよ」
「だってさ主、どーする?」
やけに自信たっぷりの陸奥守と蜂須賀を見て、ふぅ…とため息をつきながら加州が凛華を見る
そんな5振りを見て凛華もまたはぁ…とため息をついてこんのすけを呼んだ
「お呼びですか?主さま…って!またこのように部屋をめちゃくちゃにして!!」
「あぁ~…それはまた今度掃除するから…。それよりこんのすけ、出陣するから他のみんなを中庭に呼んでくれない?」
承知しました・・・と部屋の中を睨みながら丁寧に返事をして部屋から出て行った
加州と山姥切は漫画道具を片付け、陸奥守は整理していた個所を片し直してみんなの所に集まる準備をした
その間、凛華は部屋の片隅にある仏壇に手を合わせる
「…ちゃんと見守ってよね、桜羅」