第1章 鍛刀完成 *卯月*
『はぁ~、ちょっとしゃべり過ぎちゃったかな』
「冴姫ちゃん、主と仲良しだね。羨ましいくらいだよ」
『まぁ、それ目的で顕現されたようなものだからね。あと、主ちゃんから本丸のみんなとも仲良くしろって言われてるから、大和君もこれからはよろしくね』
「うん、こちらこそ」
大和君と主ちゃんの部屋を後にして廊下を歩いていたら、奥から加州君が走ってきた。
「安定!冴姫も!!よくも俺をだしにしやがって勝手に主の部屋に行きやがって!!」
「あぁ、ごめんごめん」
「全く、夕方まであいつらの世話…」
『あぁああ!!』
加州君が文句を言っていた矢先、あたしは大事なことを思い出して声を上げた
声に驚いた2人を無視してあたしは廊下を走りだした
「なっ!?冴姫?」
「どうしたの?」
2人の声も聞かずに、あたしは猛ダッシュで縁側に向かった
***
廊下の角から縁側を覗くと・・・
ひゃ~・・・いるよ、3人共
『あ…あのぉ…』
「…おぉ、姫。待っておったぞ」
『すみません、お待たせしてしまい…』
さっきまた来ますって言ってしまった手前見に来てみたら、やっぱりご丁寧に3人共縁側に座っていた
「気にするな、俺達ともなると時間がたつのが遅いからな。それよりお前はいい時に来た。ちょうど今が一番美しい時だ」
3人の端に座っていた鶯丸様が正面を向いてそう言う
鶯丸様の見ている方を見ると・・・
『わぁ…』
「美しいだろう。この時期のこの時間が一番夕暮れが美しい。ははは、良きかな良きかな」
「冴姫、ここへ」
『えっ…なぜ…』
「さっきの続きがしたいからだ」
あたしを呼んだのは小狐丸様だった
真ん中に座っている小狐丸様は自分の膝をポンポン叩いて座れと催促した
『失礼します…』と小さくつぶやき、小狐丸様の膝の上に座った。
座った瞬間に、小狐丸様はあたしを抱きしめてすうっと身体のにおいを嗅ぐ