第9章 初遠征
「おぉ!よかったな兄弟、かっこいいって言われてよ」
「いや…俺は…」
「サキ姉!俺もかっこいいって言ってよ!!」
「そうだよ、俺もお姉ちゃんにかっこいいって言われたい」
あたしの軽率な一言でその場にいたみんなが騒ぎ出してしまった
『あ…あぅ、み、みんなかっこいいよ!!』
「みんなじゃなくて、俺を褒めて」
『あぁ~蛍ちゃんは…かっこいいというか…』
可愛いって言ったら絶対に切られると思い口を閉ざしたが、そこにさらに拍車をかけたのは自由なお父様だった
「娘子、この父が真に勇ましいであろう?なぜなら、すべての刀剣の父であるからな」
『うーん…小烏丸様も、かっこいいというか…美しいというか…』
「おや、お取込み中でしたか?」
その場にいたみんなで揉めていたが、それを止めてくれたのは部屋を覗くように見ている一期さんだった
「おっ?どした一期一振」
「主より伝言です。皆さん広場に集まっていただきたいそうです」
『ひろば?』
「広場ってことは、出陣じゃねえか?」
「そうか、娘子。この父を連れて行っておくれ」
と、さらりとあたしの手を握る小烏丸様。
蛍ちゃんと愛染君がその反対側の手を取り合う。
・・・お父様よ、真の父なら子らに譲ってやれよ・・・なんて思ってしまうのは現代人の考え方なのか・・・と疑問に思いながらあたしたちはみんなが集まる広場に向かった