第9章 初遠征
「よし、じゃあ行こっか」
『うん、じゃあ蛍ちゃんと愛染君も』
「おぅ!へへっ、国行が知ったら悔しがるだろうな~」
「寝てる国行が悪いんだよ」
蛍ちゃんと愛染君と手を繋ぎながら和広間を出た
獅子君と山姥切さんに着いていくと、手入れ部屋のさらに先にある部屋に着いた
そこに来るのはあたしも初めてだったから、ちょっとドキドキしながら部屋に入った。そこには、3本の美しい刀があった
大きさ的に・・・打刀、じゃない太刀だ
「じゃあサキちゃんこれ」
獅子君に手渡されたのは、人型の紙だった
これを刀にのせると顕現出来るというので、あたしは3本の中で1本だけ別の棚に置かれている刀にそっとその紙を置いた
置いた瞬間刀がパァっと光り出し、桜吹雪が辺りに舞った
そこに現れた刀剣男士に、あたしは見惚れてしまった
「我が名は小烏丸。外敵と戦うことが我が運命。千年たっても、それは変わらぬ」
その姿は美しく妖艶で、漆黒の特徴的な髪型に白い肌と女のあたしが見ても美しいと思える姿だった
『わぁ…綺麗』
「ん…?そなたが、審神者なのか?」
『あ…いえ、あたしも刀剣です。女ですが…』
「そうか娘子、名は何と申す?」
『えっと…桜華切冴姫です』
そうかそうか…とフフフッと笑う小烏丸は、唐突にあたしの正面に立ちあたしの両手を掴んだ。あたしよりも少し視線は低いが、纏っているオーラと雰囲気に圧倒されてしまっている
『えっ…えっと小烏丸…様?』
「ふふふ、我は今の形の日本刀が生まれ出ずる時代の剣。言わばここにいる刀剣の父も同然。娘子も父と崇めてよいのだぞ」
『えっ、いや…だって』
「愛いな娘子。よし、父にこの本丸を案内しておくれ」
『いやあの…』
中々に強引なお人だと思っていたら、獅子君があたしと小烏丸様の間に割って入った