第9章 初遠征
「えぇー、サキ姉は俺達と遊ぶ約束だったのに」
「そーだよ、いくら主命でもお姉ちゃんは今日は俺達のだよ」
獅子君の言葉に不服そうな愛染君と蛍ちゃんはあたしの両脇に入り腕にしがみついた。
「でも主からの命令なんだからよ、しょうがねえだろ?」
「やぁだ」
『蛍ちゃん愛染君、主ちゃんの命令なんだから…で、主ちゃんはなんて?』
「…鍛刀した刀の顕現だ。」
『顕現…ですか』
ため息混じりに説明してくれた山姥切さんに、あたしは思わず敬語で答えた
・・・というのも、最初の内番のあの時からどうも山姥切さんから避けられているというか、ほぼ話をしない(話すとしても堀川君か山伏様を経由して会話している)からまだ彼との距離感がいまいちつかめていない
「冴姫ちゃんはまだ顕現の経験がないから教えてやってくれって主から頼まれたんだ」
『あぁー、それなら行こうかな』
「えぇー!?サキ姉さっき一緒に遊ぶって言ったじゃん!」
「あぁ~、じゃあお前らも一緒に行くか?」
獅子君の粋な計らいで2人の顔色が一気に輝いた
キラキラとした笑顔で「行くー!!」なんて言うものだからあたしの心はなんとなくキュンとした
・・・だって可愛いんだもん