第8章 愛情と劣情
『…大事なのは、あたしは皆さんの性の捌け口に必要だからですか?』
「…私達は、貴女が好きです。でも、身体が欲しいのではない。我々欲しいのは貴女の心です」
『こ…ころ?』
小狐丸様は、ゆっくりと言った
そのままあたしの髪を撫で頬を触り身体を触っていく
「貴女は本当に美しい…それをみな分かっている。でも他所の者はそれしか知らない。だから、貴女の姿を見て美しいと言うだけで内面を知らない。それ故に貴女に劣情を抱き所謂捌け口にしようと目論む。
でも、我々は違う。
美しい貴女の内面を見て来た。楽しく笑う姿、手合わせに負けて悔しがる姿、昆虫が現れて怯える姿、すべてを見ている。だから我々は貴女に愛情を抱く」
『愛情?』
「貴女が好き、貴女を守りたい、貴女の心を独り占めにしたいと…そう思うのです。誰も性の捌け口にしたいなどと思っていない」
『ほ…本当に?』
「あぁ、その証拠に…」
と、小狐丸様はあたしの頬に手を当てた
じんわりと伝わる手の温かさ・・・さっきの小狐丸にはなかったものだ
「この温かさが愛情なのです。」
『ぁ…なんとなく分かります』
「…独占したいと思ってしまうことも一種の劣情なのでしょうが、私達は貴女を大事に思っています。大事だからこそ守りたいのです。私たちに、貴女を守らせてください。私は…私達は貴女が好きです」
『・・・ッ!』
小狐丸様は、あたしが一番欲しい言葉をあたしにかけてくれた。
あたしは、初めて分かった
あたしはこんなにも愛されていたことを・・・
短刀達も蛍ちゃんたちも、小狐丸様も、凛華もみんなに愛されている
刀剣女子だからじゃなくて、桜華切冴姫だから
『あ…ありがとうございます。小狐丸さ…』
「だがしかし、この傷はいただけません。」
『えっ…』
頬にあった小狐丸様の手がまた首元に行った
傷をつけられたところに触れたと思ったら、小狐丸様はそこに顔を近づけて来た
そして、さっきよりもかなり強く痛みを感じた