第8章 愛情と劣情
『んん!ん、んんーー!』
「ッは、冴姫…」
小狐丸様が、あたしを冴姫と初めて呼んだ
そう思った瞬間身体がフワッと浮き、あたしをお姫様抱っこしたまま急ぎ足であたしの部屋のほうへ歩き出す小狐丸様
『こ…小狐丸様!?』
「本丸内のものであるならいた仕方あるまいと思っていたが…他所の狐に奪われるなど…」
『いや…だから』
「貴女も、もう少し危機感を持たないから…」
そんなことを言っていたら、いつの間にかあたしの部屋に着いた。なんとご丁寧に布団が敷かれていた
「次郎太刀殿が敷いてくださったのでしょう。好都合ですな」
『やっ…ちょ、小狐丸様!?』
抱き上げられていたあたしはそのまま布団に下ろされ再びキスをされた。さっきよりも深く・・・
『んぅ、ふ…うぁ…ぁ、こ…こひ…』
「…ぁ、冴姫、貴女はもう少し自分の事を分かるべきだ。…自分がどれほど愛されているのかを」
『ふっ…ぅぇ…?』
愛されている・・・?あたしが?
『…あたしが、女士だからですか?』
「…女子ならぬしさまもいる。」
『…でもあたしは刀のくせに女だから弱い…だからみんなに』
「だからみんな、貴女を大事に思うのです」
さっきの怖い顔から一変し、小狐丸様は優しい顔になった
その笑顔であたしのことをギュッと抱きしめる。