第8章 愛情と劣情
「んじゃ、適当に着替え持ってくるからゆっくり入りな」
『はい…』
浴場から出て行った姉様を見送ってあたしは白無垢を脱いでいく。中の赤い着物も脱いで大きな浴場へ入っていく
身体を洗ってから1人で入るのにはかなり広すぎる浴槽に浸かった。ふぅ…と一息つくが今日の演練のことが頭から離れない
守られるだけで守れぬのだ・・・
その言葉が頭の中に流れてくるだけで、目から涙が落ちた
それに、あの本丸の人たちみたいにひょっとしたらこの本丸の人たちもあたしのことを・・・
そう思ってしまったら止まらなかった
不安や恐怖に押しつぶされそうになり、お湯に浸かりながら大きな声で泣いた
主ちゃんにもみんなにも迷惑をかけてしまったし、あたしは何の力にもなれないし・・・
『うっ…うぅ、あたし…あたしなんてぇ…』
「冴姫姉ちゃん!!」
『えっ!?うわぁ!!!』
あたしを呼ぶ声が聞こえて来たと思ったら、突然ザブーン!!という音と共に水しぶきが顔中にかかった。おかげで涙なのかお湯なのか分からなくなった
『み…乱ちゃん!?』
厚「姐さん!俺達も一緒に風呂に入るぜ!!」
今剣「わぁーい!!おねえさんとおふろです!!」
蛍丸「へへへ、お姉ちゃんとお風呂だ」
『えぇ!?ちょ、ま…ストップ!!』
短刀と蛍ちゃんがいきなり浴場に入ってきたからあたしの頭はパニックだった