第8章 愛情と劣情
「おかえりなさ…」
「お姉ちゃん、おかえ…り」
空間移動を抜けて凛華の本丸に戻ってくると他の刀剣男士達が出迎えた。でも、あたしの様子を見るとみんな言葉を濁した
「ね…姐さん?」
「あ、主。桜華切は…」
「ちょっと疲れたみたいだから、次郎。貴方が冴姫の面倒を見てあげなさい。他の奴等はそれぞれ休みなさい。今日はもう出陣も遠征にも出さないから…。ゴメン、私もちょっと…」
「あぁ!!主ぃーー!!」
不機嫌なまま部屋に戻っていく凛華に長谷部がダッシュでついていく。近侍の一期もその後を追った。他の刀剣男士達は和泉守の手から次郎太刀の手に渡るあたしを見ていた
「次郎太刀、任せていいか?」
「あぁ、任せときな。」
『あ…姉様、あたしは大丈夫ですから…』
「姉ちゃん、ホントに大丈夫?ボク…」
『大丈夫だよ、乱ちゃん。ちょっと疲れちゃっただけ』
そう言うが、あたしは結局次郎姉様に抱っこされたまま浴場に連れて行かれた。
他の人に見られているなかで、あたしは小狐丸様と目が合った。彼が一番怖い顔をしているようだったから気になった
もちろん他の人もあたしを見ているからあたしは居た堪れなくなって姉様の着物をギュッと握った
「…何があったとは聞かないから、今日は早く休みなさい」
『…すみません姉様。あたし…主ちゃんに…』
「あんたは何にも悪くない。あの子だってそう思ってるだろうさ」
そう励ましてくれた姉様に連れられてあたしは浴場にたどり着いた