第8章 愛情と劣情
凛華は、笑顔で男審神者に近づいてこう言い放った
「本日は演練のお誘いありがとうございました。ですが、今後我が本丸との交流はないとお思いください。では」
「い…いや凛華さん!やはり、言い値で構いません。なんとかそれを…」
《それ》という言葉を聞き、凛華はさらに笑顔で男審神者の方へ歩み寄った
「それ?…それってこれのことですか?」
と、凛華は男の足元に紙を投げ捨てた
それが何かは分からないが、それを見た瞬間男審神者の表情はどんどん青ざめていった
「それを政府に提出しようと思うのですが…言い値でいいんですか?」
「・・・お前達、お見送りを」
「結構です。二度と関わってくんなクソ野郎」
そう言い捨てて、凛華を先頭にあたし達は自分たちの本丸へと帰還した
相手本丸の門から空間移動が始まる直前、姫抱っこをされているあたしのそばで行光がそっと耳打ちして来た
「冴姫、大丈夫か?どっか痛ぇとかないか?」
『…うん、大丈夫だよ』
「あのさ…冴姫。さっき、誰のこと呼ぼうとした?」
『え…?』
…何でもねえ。と顔を背けてしまった行光
そのまま空間移動が始まってしまったためもう誰も話さなくなった
あの時・・・あたしはいったい誰を・・・