第1章 鍛刀完成 *卯月*
「主、失礼します」
大和君が案内してくれたのは、本丸の一番高い場所、本家の最上階だった
中から女性の声で「どうぞ」と言う声が聞こえた
大和君が襖を開けると、中は・・・
紙だらけの部屋・・・いや汚部屋だった
「主、鍛刀した刀が来たよ。」
「…あ、うん」
どこから声がしているか分からないけど、紙が動いたと思ったら中から女の人が出てきた。長い髪がボサボサで目の下にクマが・・・
『あ…あぁ…るじ?』
「あぁ…、来たね……桜華切冴姫。」
『主…ですよね?』
紙の中から出てきた主様はまるで亡霊の…!?
そう思った途端、遠くにいた主が一瞬にして目の前にいた
「はぁ~ん女の子ぉおお!!!夢にまで見た女の子!!よく来たねぇえ~♡」
さっきまで亡霊だった主様があたしを抱きしめてとても元気そうだった。
『えっと…』
「主、男所帯が苦手みたいでずっと女の子が欲しいって言ってたからね。」
困惑しているあたしに、大和君がそっと教えてくれた
『なんで、女の子を…』
「それはね…」
主様は、あたし達が立つ場所の近くに落ちている紙を拾い上げ、それをあたしに見せてきた
そこには可愛い女の子と男が書かれていて・・・
『これは…』
「あんたなら見ればわかるでしょ?少女漫画よ!少女漫画!!私は可愛い女の子が好きなのよ!!なのに審神者になってから男ばっかり増えて!!もう我慢の限界だったのよ!!」
長い髪を振り乱して御乱心の主様だったが、どうやらあたしはこの本丸に招かれるべき刀剣だったようだ。
それを実感できたから、ちょっと嬉しくなった