第8章 愛情と劣情
「桜華切殿、先に参ろう。五虎退殿も他の短刀たちと楽しそうにしておられますので」
蜻蛉切さんがそういうが、あたしは五虎君のほうをちらっと見る
どちらかというと、短刀達に囲まれて困っているように見えてしまった
『いえ、あたしは待ちます。』
「しかし、主達を待たせては…」
『あたしの主ちゃんがいるなら大丈夫ですよ。』
「…それでは困るのですよ」
『え…?』
突然背後から聞こえていた蜻蛉切さんの声が低くなったかと思ったら、あたしの手は蜻蛉切さんによって引っ張られていた
「…ッ!お姉さん!!」
その異変に五虎君も気が付き、あたしのことを呼ぶが周りの短刀達が五虎君の行く手を阻んだ
「ど…退いてください!」
乱「なんで?ボクらともっとお話ししてよ」
秋田「そうですよ。あなたがいては邪魔なのですから」
あたしには聞こえなかったが、彼の周りを取り巻く短刀達の顔色が変わった。それを見た五虎君が彼らから一歩離れて自身の刀を抜いた
「お…お姉さんに、何するつもりですか!!」
乱「別に~。ねぇ?」
厚「女の使い道って言ったら、1つしかねえよな」
ニコニコしながらそう言う短刀達に五虎退はコソっと五虎退は虎に他の人たちを呼んでくるように言う
『ちょっと!!離してください!!』
「お姉さん!?そこ退いてください!!」
「嫌です。だって、貴方達だけズルいですもん」
あたしが連れていかれる前に、そんな声が聞こえた
言ったのは、この本丸の前田君だった
あたしはそのまま蜻蛉切さんに連れていかれてしまった