第8章 愛情と劣情
「失礼致す。」
入ってきたのは、相手の本丸の蜻蛉切さんだった
さっき演練した人達と違い礼儀正しそうだった
「桜華切殿、我が主とそちらの主がお呼びだ。共に来てはくれぬか?」
と、丁寧な物言いで言う蜻蛉切さん
あたしらの主もいるなら…ということで、あたしはその場から立ち上がった
「待てよ」
でも、中には疑っている者もいた
「俺も着いてく…ヒック」
『行光?』
「だって、こんなトコ冴姫1人で行かせらんねぇだろ」
「俺が着いているから問題はない」
「それが信用ならんのじゃ。わしらの誰かが一緒について行く方が安全ぜよ」
行光がそういうから、陸奥も加勢して蜻蛉切さんに食ってかかる。
あたしは大丈夫だと言うが、結局1番穏便に済む五虎君と共に蜻蛉切さんについて行くことになった
「…ッ」
『五虎君どうしたの?さっきからすごいそわそわしてるよ?』
「す…すみません、なんだか…嫌な気配を感じるんです…」
そういう五虎君と、彼の虎は本丸内を見回しながら不穏な顔をしていた。すると、彼らが見ている方と逆の方から人が数人やってきた
乱「わぁー!!五虎退なのに姿が違ーう!!」
厚「すっげー!!かっこいいな!!」
前田「僕らも早く修行したいですね、五虎退」
五虎退「お…大きな虎くん…、かっこいいですッ…!」
と、粟田口の短刀達が五虎退を取り囲む。あたしのことはチラッと見ただけだった
いきなり現れた別の本丸の兄弟にあたふたしている五虎君を見ていると、背後にいた蜻蛉切さんがあたしに耳打ちする