第8章 愛情と劣情
「お姉さん!ごめんなさい…僕…」
『大丈夫だよ五虎君、あたしケガしてないもん』
「やけんどあいつら、ホンマにわし達に勝つつもりやったのか?太刀や大太刀のくせに手ごたえがなかったきよ」
演練が終わり、結局あたしたちの勝利となった
多少の傷は負ったものの、戦闘不能になったものはおらず相手は陸奥と鯰君によって石切丸を戦闘不能にしたためこちらの勝利になった
今は相手の審神者がおもてなしと称してあたしたちを本丸内に通した。凛華は今はその審神者と話をしているらしい
あたし達は広間に集められていて、あたしはあたしを守れなかったと泣いている五虎君を慰めているところだ
「でも、とりあえず勝ってよかったですね。お姉さんを取られずに済みましたし」
『あ…すみません皆さん、今回の演練あたしのせいで…』
「お前が気にすることじゃねえ、相手が勝手に言ってきやがっただけだ」
「そうだぜ冴姫、俺等を相手にした時点で敵の負けは見えてたんだ。あっちが悪いんだよ」
と皆さんあたしを励ましてくれる
でも、そんなことよりもあたしはさっきの演練で言われたことがずっと胸に残っていた
——————守られるだけで守れぬのだ
そんなことないと言ってしまえば早い
でも、胸を張ってそれを言うことができなかった
だって、現にあたしはみんなに守られているから・・・
そんなことを考えていると、あたし達のいる広間の障子が開いた