第3章 【澤村】話は半分
話を半分でしか聞いくれない。けれどその分、こちらも言ってる事は支離滅裂。けれども愚痴りたい事をひたすら言って、尚且つそれは大地にとってはあまりいい気分でないと言う相手の気持ちも分かっているのを思うと、知っているからこそ気にしない姿勢で居てくれてる事を良いことにその晩は大地がビール缶を一本あけるまでがとても長く思えた。
「ほら名ー。寝るぞー」
「うーん····」
「おーい」
「んー」
「はぁ、全く」
ソファの上で寝こける酔っ払いの彼女。弱音が多いのは付き合う前から知っていて、危なっかしいのが心配で気にかけていたらこうなった。だからと言って好きじゃないって言う事はなくて、むしろ、出来ない出来ないと言ってるくせに、本人は気づいてないだろうが出来ない事を一つずつこなしていた。そういう頑張っている姿勢が好きで、告白された時は恥ずかしさでこちらの気持ちをきちんと言えず、あの時にきちんと言った。あの時期、名は会う度本当に何か物思いにふけていてこちらも心配していたらそんな事だった。一瞬、かちんと来たが直ぐに不安にさせてのはこちらだと気付き、名を好きな気持ちが当たり前になっている自分にも気付き、二人してしょうがないなと思った。
「ほら早く寝るぞー。先に寝ちゃうぞー」
「んー」
そう言うと渋々寝支度を始める名を見守りつつ台所に空き缶の始末に行くと自分が帰って来る前に空いていた缶を見つけてしまい、その次の日
「飲み過ぎ」
「はい」
「愚痴りすぎ」
「はい」
「今度からはあんだけ飲む時は一人で飲まない事!!」
「えー」
「えーじゃないだろう!」
と二人で暮らして初めて出来た二人ルール。
「普通洗い物はーとかじゃない?」
「他所は他所。うちはうち!」
「はーい」
名そんなやり取りでも笑っていて
「反省してないな」
とつっこめば
「してるけど大地が居れば平気だわ」
「なんだそれ」
と二人で笑い合った。一緒に暮らせば色々起こる。けるどもお互い、好き合っただけあって何かと上手く行く方法は勝手に見つかってるものなのだ。
「来週からがんばるぞーーー!」
そうしてお互い元気にしあってるものなのだ。